医薬品
2025年3月14日
脊髄小脳変性症治療薬「ロバチレリン(KPS-0373)」の追加第Ⅲ相臨床試験開始のお知らせ
キッセイ薬品工業株式会社(本社:長野県松本市、代表取締役会長兼最高経営責任者:神澤陸雄、以下「当社」)は、開発中の脊髄小脳変性症治療薬「ロバチレリン」(一般名、開発番号:KPS-0373、以下「本剤」)について、追加の第Ⅲ相臨床試験を開始したことをお知らせします。
本剤に関して、当社は、これまでに実施した2つの第Ⅲ相臨床試験ならびに併合解析の結果から、国際的に用いられているSARAスコアにより、脊髄小脳変性症における運動失調に対して初めて改善効果が検証された薬剤であると判断し、2021年12月22日に製造販売承認申請を行いました1。しかし、医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」)より、この臨床試験データでの承認は困難であるとの見解が示されたことから、2023年7月19日に承認申請を一旦取り下げました2。当社は、追加臨床試験の実施可能性について検討し、今般のPMDAとの協議にて臨床試験計画が受け入れられたことから、追加の第Ⅲ相臨床試験を開始することとしました。
今回実施する臨床試験では、脊髄小脳変性症患者さんを対象に、本剤を経口投与したときの運動失調の改善効果について、プラセボに対する優越性を二重盲検法により検証します。
当社は、本剤を脊髄小脳変性症治療の新しい選択肢として提供できるよう、開発に注力してまいります。
以上
1 ニュースリリース:2021年12月22日
脊髄小脳変性症治療薬「ロバチレリン(KPS-0373)」の 国内製造販売承認申請のお知らせ
2 ニュースリリース:2023年7月19日
脊髄小脳変性症治療薬「ロバチレリン(KPS-0373)」の国内製造販売承認申請取り下げのお知らせ
《ご参考》
ロバチレリン(開発番号:KPS-0373)について
塩野義製薬株式会社(大阪市中央区、代表取締役会長兼社長 CEO:手代木功)が創製した甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)誘導体です。中枢神経系に分布するTRH受容体に結合して、ドパミンなどのモノアミンやアセチルコリンなどの神経伝達物質の遊離を促進することで、神経系を活性化させる作用を有しており、脊髄小脳変性症患者さんの運動失調の改善が期待されています。
脊髄小脳変性症について
脊髄小脳変性症とは、小脳または脊髄などの神経細胞が徐々に脱落し、運動失調症状をきたす神経変性疾患の総称です。厚生労働省の定める指定難病であり、国内で3万7000人程度の患者さんが認定されています※。近年の基礎研究によりその病因が解明されつつあるものの未だ不明な点が多く、根本的な治療法はないことから、諸症状に対する対症療法が行われているのが現状です。公益財団法人ヒューマンサイエンス振興財団及び日本神経治療学会の協働で実施された「神経疾患に関する医療ニーズ調査」では、脊髄小脳変性症に対する治療満足度及び薬剤貢献度はいずれも低く、現在有効な治療法がない等の理由から「新規治療法の開発が急務な疾患」として報告されています。
(※難病情報センター特定医療費(指定難病)受給者証所持者数(令和5年(2023年)度末現在))
SARA(Scale for the assessment and rating of ataxia)について
脊髄小脳変性症等における運動失調の半定量的な評価方法で、8つの評価項目(歩行、立位、坐位、言語障害、指追い試験、鼻指試験、手の回内回外運動、踵すね試験)から構成され、国際的に使用されています。8つの評価点を合計し40点満点で、無症状が0点、最重症が40点と評価されます。
脊髄小脳変性症治療薬「ロバチレリン(KPS-0373)」の追加第Ⅲ相臨床試験開始のお知らせ 【PDF/252.9 KB】